「仕事,運動エネルギー」
2004.7.10 摂南大学 工学部 電気電子工学科 井上雅彦

工学部 教育センターSEC Video Library > One-point アドバイス(物理)
解説ビデオ

力の向きに荷物を動かすとき,力 F〔N〕が大きいほど,また動かす距離 s〔m〕が長いほど疲れを感じる。物理学では [力]×[距離]を「仕事」と定義している。W = F s〔Nm〕, 1〔Nm〕= 1〔J〕(ジュール)の単位を用いる。

運動している物体は仕事をすることができる。この能力のことを「運動エネルギー」という。 運動エネルギーの大きさは,その動いている物体ができる仕事の大きさで表される。

今,質量 m〔kg〕のボールが速度 v0〔m/s〕で左から右に向かって飛んでいるとする。 このボールにまったく力が働かなければ,このボールは速度 v0 で永久に飛び続ける。(「慣性の法則」)

壁に重さの無視できるくぎがささっていて,ここにボールが衝突し,そのまま s〔m〕進んで静止したとする。 すなわち,くぎはボールによって s だけ打ち込まれたのである。この時くぎがボールより受けた力を F〔N〕とすると, ボールがくぎに対してした仕事 W は,W = F × s〔J〕となる。
また,作用反作用の法則によりボールもくぎから力 F を受け, しだいに減速し,停止したということになる。

速度が刻一刻と変化しているわけだから,この間のボールの運動は 加速度運動である。ボールが時刻 t = 0〔s〕でくぎに衝突し,t = t1〔s〕で静止したとすると, この加速度 a' は,

〔m/s2
となる。ボールからくぎにはたらく力はボールにはたらく力と同じ大きさで逆向きなので,加速度 a も a' と 同じ大きさで逆向きになる。( a = - a' )従って,
〔N〕
また
〔m〕
であるから,ボールがくぎに対してした仕事は,
〔J〕
つまり速度 v0で運動している質量 m の物体は上記のような仕事をすることができる。 このときこの物体は
〔J〕
の運動エネルギーを持っているといえる。


工学部 教育センタートップページへ戻る

摂南大学工学部 教育センター オリジナル教育ビデオライブラリ
Copyright © 2012-2024 Electrical and Electronic Engineering, Setsunan University, All rights reserved.